企業のホームページと個人のホームページでは、その意味合いが全く異なります。従って、必然的にレンタルサーバの選び方も違ってきます。ここでは、企業ホームページを対象として、失敗しないレンタルサーバの選び方について解説します。

執筆
コンサルタント
藤澤快哉

レンタルサーバに関するトラブルは結構多くあります。まずは、代表的なトラブル事例のお話をしましょう。
あるお客様の事例です。以前、弊社とは全く別のホームページ制作会社でホームページをつくりました。サーバのことは全くわからなかったので、その制作会社に任せました。しかし、制作会社との付き合いが途絶え、ある時気がついたらホームページ自体がなくなっていたのです。つまり、知らないうちに契約が切れ、何の連絡もなかったため、サーバにあったデータが全て消えてしまいました。サーバ会社に問い合わせたものの、やはり、データは復活できないということでした。
この事例の場合、弊社としてお奨めできないことを2つしています。
1つ目の失敗は、レンタルサーバ会社と直接契約しなかったこと。いや、実際は直接契約だったようなのですが、その意識がなかったこと。つまり、ホームページ制作会社との契約だったり、そう思ってしまうような契約、これは避けるべきです。そのホームページ制作会社との付き合いがなくなったら、どうなってしまうのでしょうか。また、制作会社自体が倒産したりなくなってしまったという別の事例もありました。こうなると連絡が取れませんから、サーバにあるデータが消失するどころか、新しいサーバにドメインを移転することだって難しくなります。特に個人レベルの制作会社、あるいは、本当に個人でやっている人にサーバを一任するのは自殺行為です。
2つ目の失敗は、法人向けのサーバではなく、格安の個人向けサーバだったこと。格安のサーバの場合、書類を郵送しないところがほとんどです。この場合も月額費用が数百円というサーバだったため、書類を郵送しない方針であるのは当然で、つまり、ネット上で契約の確認も契約の継続処理も全て自分でできるヘビーユーザ向けのサービスなのですが、その自覚がなかったということです。こういうサービスでは、送られてくるメールを確認したり、管理画面上で定期的に契約確認を行うなどが必要ですが、放置してしまったようです。また、格安のサーバでは、当然サポートも期待できませんので、法人には向きません。メールサポートだけの場合、問い合わせしても数日放置される場合もあります。電話サポートがあるサービスを選ぶべきです。
ここまでの話をまとめると、ポイントは次のようになります。
レンタルサーバは、レンタルサーバ会社と契約する。ホームページ制作会社とは契約しない。ホームページ制作会社は取次までならOK。
郵送で書類が送付されるサービスを利用する。格安サーバは個人向けであることを認識する。
サポートのレベルを確認する。電話サポートがあり、サポートの評判が良いサービスを選ぶ。自分達のパソコンスキル・インターネットスキルとレンタルサーバ会社のサービスレベルが合っているかを考える必要があります。
これが選び方の全てかというと、実は、まだまだポイントがたくさんあります。以上は基本中の基本にすぎません。
インターネット・プロバイダの契約についてきた無料サービスは使わない。一般的に言えば、無料サービスはおまけですので、機能その他あらゆる面で、専業レンタルサーバ会社が提供するサービスに劣ります。
一般的に求められている機能としてPHP(プログラミング言語)および、PostgreSQLまたはMySQL(データベース)を利用できるものを選ぶ。これらは、現在の法人向けレンタルサーバとしては、基本的な機能であり、これらが提供できていないということは、法人が必要とする機能を満たしていないことになります。
機能一覧表を他社と比較して、あまりにも機能が少ないものは利用しない。機能面で細かいことが良く分からないとしても、機能一覧表の項目が多いか少ないかで、ある程度の判別はできます。
オンライン・マニュアルがあるサービスを利用する。企業ホームページの場合、基本的に弊社のようなホームページ制作会社に作業を依頼することになりますが、制作会社にとって作業がやりやすいことも非常に重要です。オンライン・マニュアルは当然あってしかるべきもので、これを提供できないようでは、基本的なサービスレベルや企業姿勢に問題があると言えます。
可能であれば、SLA(サービス・レベル・アグリーメント)と呼ばれるサービスレベルの基準を定めているサービスを利用する。レンタルサーバがシステム障害等によりダウンしている(稼働していない)状態が数時間続くような状況を見かけることがありますが、Webもメールも不通になりますので業務に支障が出ますし、営業面では機会損失となります。技術力があるレンタルサーバ会社ではSLAによって稼働率99.9%以上などと定めている場合があります。稼働率が約束の水準を下回った場合には、料金の一部あるいは全額を返金したりするのです。こういったサーバを選ぶのもお奨めできます。
最後に「専用サーバ」と「共用サーバ」について解説します。レンタルサーバは大きく分類してこの2種類があり、「専用サーバ」はサーバ機1台を自社専用でレンタルするもの、「共用サーバ」はサーバ機1台を複数の会社で共用するものです。もちろん、共用と言っても、他社の領域は見ることができませんのでセキュリティの問題はありませんが、サーバ機のCPU、メモリ、ハードディスクをシェアして使う形になります。
中小企業の95%は「共用サーバ」で大丈夫です。「専用サーバ」は1台占有ですので、理屈としては、大規模なホームページであったり、大規模なシステム開発を伴う場合に向きますが、最近ではサーバ・コンピュータの性能が上がり「共用サーバ」で充分な場合が増えてきています。
「専用サーバ」にしなければならない事例としてよくあるのが「個人情報をデータベース化する場合」です。会員制サイトなどで、会員個人の氏名、住所、電話番号などの個人情報をデータベースにする(サーバに個人情報を格納する)必要がある場合。この場合は、それだけで「専用サーバ」という選択になります。しかも、「専用サーバ」が2台必要です。セキュリティの観点から、個人情報を格納するデータベースサーバを、公開情報を扱うWebサーバと分離する必要があるためです。
大雑把な使い分けとしては、会員制サイト、ポータルサイトなど個人情報を扱うサイトは「専用サーバ」が必要ですが、それ以外の場合は、よほど会社が大きいか、膨大なアクセスが予想される(例えば、全国規模のキャンペーンに使用するなど)場合を除いて、「共用サーバ」で充分な場合がほとんどと言えます。
ただし、個人向けの格安サーバでは処理性能が不充分なことが多いため、法人向けのしっかしとしたサービスを選ぶことが必要です。